2016冬アニメ 作品レビュー
『ハルチカ~ハルタとチカは青春する~』 評価:A 主人公がゲイでヒロインの恋敵という設定には驚かされたが、ゲイをネタにしない姿勢もこの作品に込められた様々なメッセージのひとつだと感じた。ちょっとやりすぎ感もありながら、幅広い知性と青春の甘酸っぱさで視聴者の心を揺さぶった。
一番評価したいのは、ヒロインである穂村千夏のキャラクターとしての魅力。仲間を集めて全国を目指すという部活モノのワクワク感も良かった。ミステリーとしてはやや破綻気味だったが、現代建築、ベトナム戦争、宮沢賢治、聴覚障害…その守備範囲の広さに感服。
『僕だけがいない街』 評価:S ノイタミナの復活を高らかに宣言した作品といえるだろう。ミステリーとしてだけでなく、家族愛という視点でも、少年時代のノスタルジーという視点でも楽しめる。強くもかっこよくもないが応援したくなる主人公の存在も大きい。
やや釈然としない終わり方だったが、タイムリープ作品の歴史に名を刻んだのは間違いない。俳優2人の声優としての演技は決して上手いとは思わないが、この作品の特徴には合っていたと感じる。
『最弱無敗の神装機竜』 評価:C 展開はお決まりなのに全体像が全く見えてこないストーリー、退屈で無用なバトルシーン、お粗末な演技力。どうしようもないくそアニメだが、唯一キャラの作画だけは素晴らしかった。その可愛さだけで最後まで観てしまった。
『赤髪の白雪姫(第2クール)』 評価:S 2期ではオビの葛藤やラジの成長など脇役にもスポットが当たり、白雪にも更なるピンチが訪れるなど、1期以上に見どころの多い内容だった。ゼンと白雪のいちゃラブもパワーアップし、何度も壁を殴りたくなった。
『無彩限のファントム・ワールド』 評価:B 京アニ作品として厳しく評価するなら、良く言って意欲作、悪く言って失敗作。小難しいことをやろうとするわりに内容は月並みで稚拙だった。結局は衝撃の第1話がこのアニメのクライマックスだった。
『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』 評価:A テンポが良くて見やすく、あくまで警察であろうとするユニークさやダメダメな部署が活躍する痛快さが持ち味となった。一般層を狙いながらもアニメとしてのロマンもしっかり描いていた。分かりやすいがゆえに終盤やや失速気味に感じた。
『だがしかし』 評価:S ある種の日常系ともいえる作風でありながら、回を増すごとに面白くなる作品も珍しい。笑い、エロ、斬新さ、懐かしさ、キャラクターの魅力、どれも満足のいく素晴らしい内容だった。
声優賞 ①悠木碧(僕だけがいない街) 作品特有の雰囲気や、プロの声優とは違った俳優との演技の掛け合いにこれほどマッチする若手声優は彼女くらいか。感情が表れにくいキャラでこそ、真の演技力が問われるのである。
声優賞 ②ブリドカットセーラ恵美(ハルチカ) コミカルでありながら、可愛らしさも持った独特な演技が印象的だった。