潰れたトマトと喋るカラス

批評せずにはいられないな

2017冬アニメ 作品レビュー

【作品レビュー 10段階評価】

10

 

けものフレンズ

 子ども向けアニメのようなゆるい雰囲気に、人間がいなくなったテーマパークという不気味さや、先の読めない展開が加わる。その「世界観のギャップ」が視聴者を引き込む。旅をしながら仲間を増やすという王道の面白さもあれば、流行りの異世界モノに通じるような面白さもある。

 つっこむとボロが出るような細かい設定はあえて説明せず、重要な伏線はきっちり回収するという作りも上手だった。動物たちの習性を掘り下げることはオタクの知識欲をくすぐり、擬人化は二次創作を活発にした。声優は素人ばかりだが、それすらもこの作品の特徴だと思えてくる。

 

亜人ちゃんは語りたい

 現代社会の差別と不寛容に一石を投じた作品。一教師が亜人である生徒たちとどう向き合っていくかというテーマは、実写作品では表現できないものであり、アニメの大きな可能性を感じさせてくれた。

 キャラが魅力的で、テンポも良く、各回とも印象に残る話だった。作品外のコラボや企画にも力を入れており、制作陣の熱意が伝わってきた。

 

小林さんちのメイドラゴン

 笑える、和む、ほろりとくるシーンがテンポよく展開する。とにかくテンポが良いから退屈しない。独特ながら愛らしいキャラたちも魅力。単発的にみえるストーリーも、「家族」や「信頼」といったテーマが根底に流れており、最終回もきれいに締めくくった。

 

クズの本懐

 終盤までは金髪イケメンクズ野郎がおいしい思いをするだけの話だったが、先生二人の話や最終回の結末は良かった。「切ない恋の物語」を強調しているが、基本的にただ性欲をぶつけ合ってるだけなので笑ってしまう。可愛くてエロい女の子が見れるのは良い。

 

ACCA13区監察課

 独特な世界観、どんでん返しの展開がとても面白かった。飄々とした主人公がこの作品の持ち味ではあるが、ちょっと盛り上がりに欠けてしまう面もあった。漫画なら文字もあり読み返すこともできるが、アニメだと地名や人名の把握に苦労した。

 

幼女戦記

 そこらの異世界モノとは違った「神に挑む」というスケールの大きさには驚いたし、逆境に負けない主人公にも好感が持てた。一方、展開のほとんどはただ戦争してるだけであり、主人公も戦いたいのか戦いたくないのかよくわからず、期待したほどわくわくするようなシーンは少なかった。

 

チェインクロニクル ヘクセイタスの閃

 とにかく女キャラがみんな可愛い。男も個性的で良い。映画館でやるだけあって映像も良かった。主人公が負けるところから始まるというのはおもしろい発想だが、展開はいたってストレート。特に前半は子どもっぽくて退屈。

 

テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス
 ファンタジー世界の景色や戦闘シーンを美しく表現した映像は視聴者を大いに惹きつけたが、肝心のストーリーはあまり盛り上がらなかった。実力的にも人格的にも完璧な主人公がなんでもこなしてしまうため、緊張感や達成感が生まれなかった。
 それとどういう事情かは知らないが、テレビアニメならきちんとクール内におさめるべき。

 

セイレン

 アマガミと比較される難しさはあるにせよ、期待外れ。視聴者ウケを狙った変態プレイばかりが目につき(しかも全くウケない)、奇をてらいすぎた展開には全く共感できなかった。テンプレな学園ラブコメの殻を破ろうとする意欲は感じるが、男子の憧れるような青春は描けなかった。

 

うらら迷路帖

 迷路町という空想世界を舞台にしたわけだが、学園日常モノのようにはうまくいかなかった。設定が雑すぎて世界観に入り込めず、ストーリーは遅々として進まないため、とにかくつまらない。かわいいキャラを観るためにただ耐え忍ぶ30分だった。

 

ハンドシェイカー

 典型的なオリジナルアニメの失敗例。「とりあえず面白そうな設定を考えてみました」という感じで、ストーリーがまるで成り立っていない。斬新?なこともやっているが、ことごとくスベっている。昔ながらの次回予告だけは良かった。

 

 

アイドル事変

BanG Dream!

 

【声優賞】

(1) 茅野愛衣

 2016夏に続く選出。今期も多くの作品でレギュラー出演し、その勢いは止まらない。ギャグ(このすば)からシリアス(テイルズ)まで幅広くこなすが、なんといってもお姉さん役(3月のライオン、うらら、ハンドシェイカー)が鉄板。

 

(2) 桑原由気

 普段は明るく振る舞いながらも時より影をみせる、ドラゴン娘という独特なキャラクターを上手に可愛らしく演じていた。

『グラスリップ』とは何だったのか?

グラスリップ』(GLASSLIP)は、P.A.WORKSによる日本のテレビアニメ。2014年7月より9月まで放送された。全13話。(Wikipedia)

 

近年の深夜アニメ作品のなかで、視聴者にここまで広い解釈の幅を与える作品は他にないと思う。

 

私が思うに、この作品の主題は「駆の抱える『唐突な当たり前の孤独』という感情を、透子が分かち合うまでの物語」である。

 

結局、最終回まで二人はお互いを完璧に理解し合うことはできなかった。二人に限らず、雪哉とやなぎ、祐と幸もそうだ。人間誰しも、他者を完璧に理解することなどできない。

 

しかし、他者が抱える感情の「欠片」を「分かち合う」ことならできるのではないか。駆と透子は、二人だけの特別な場所で「唐突な当たり前の孤独」という感情を分かち合った。駆は街を去るが、感情を分かち合ったという「つながり」は消えない。ここで初めて、駆は自分の「心の居場所」を見つけたのかもしれない。

 

この作品を難解なものにさせている、登場人物たちの奇怪な行動(駆の唐突な分身、やなぎの暗号のようなメール、幸の意味不明な告白)はどう解釈すればよいか。これらは、青春時代を過ごす少年少女の複雑な心の揺れ動きを、まるで「光がガラスで屈折する」かのように、ある種の屈折した形で表現したものなのではないだろうか、と私は勝手に思っている。

 

リアリティをもたせて視聴者を感情移入させるのではなく、いくらかのファンタジー性をもたせて彼らの心情を表現するという、文学的な、アーティスティックなアプローチだと捉えられる。というか、そう考えなければ全然説明がつかない。あれにどう感情移入しろというのだ。

 

そして、作品のキーワードとなる「未来の欠片」とは、結局何だったのだろうか。透子は最終回で、「あれは未来なんかじゃなくて、まだ起こってない、だけど、きっとこれから起きること」と語っている。「未来の欠片」で見えたものは、必ずそうなるという「運命的な未来」ではなく、こうなってほしい(あるいは、こうなってしまうかもしれない)という「自分が思い描く未来」だったのだろう。

 

最終回では、透子の母親も若い頃に同じような現象が起きたと語っている。「未来の欠片」は予知能力のような不思議な力ではなく、上記の奇怪な言動と同じように、青春を生きる若者が抱く期待と不安を表現した形なのだろう。ただ、最終回を観てそう感じただけなので、また見返すと違っているかもしれない。もう見返す気はないが。

 

ストーリー以外の感想を。

 

映像としては、とにかく風景や建物の描き方が美しい。行ってみたいと思わせるような、アニメとして最高の舞台をつくりあげていた。

 

女性声優では、早見沙織の演技がずば抜けている。芯の強さと時折みせる弱さを絶妙に表現し、キャラクターの魅力を最大限に引き出していた。それがいまいちできていないのが種田。透子の声優は論外。

 

男性声優にはあまり詳しくないが、最後まで観た後だと、もはや駆の役は逢坂良太以外ありえないと思った。クールなキャラではあるが、逢坂の声にはしっかりと感情が乗っているし、キャラクターのもつ強い意志と不思議なオーラを引き立たせていた。

 

作品内に文学や哲学の要素が盛り込まれており、原作者もそういった高い知性を求める作品がつくりたかったのだろうと思う。『グラスリップ』という作品は、良くいえば様々な解釈のできる奥深い作品だが、悪くいえば物語として破綻している。私の評価としても、「出来が良い」作品だとは残念ながら言えない。

 

しかし、もしP.A.WORKSが世に生み出したこの「怪作」をあなたがまだ観ていないとしたら、挑戦してみる価値はあるだろう。

もちぞうアニメアワード2016

【作品賞】

ノミネート5作品 (★が大賞)

 

①『僕だけがいない街ノイタミナの復活を高らかに宣言し、タイムリープ作品の歴史に名を刻んだ。ミステリー、家族愛、少年時代のノスタルジーなど様々な視点で楽しめる。

 

②『だがしかし』あるあるネタトリビアも繰り出せる「駄菓子」という題材は強い。田舎情緒とゆるい雰囲気、少年心を揺さぶるお色気、それぞれの要素がこの作品独特の魅力をつくり出す。

 

③『NEW GAME!』きらら系日常アニメに新たな風を吹きこんだ。どのキャラも個性的かつ魅力的で、動画工房の力がいかんなく発揮されている。

 

★④『響け!ユーフォニアム2』女の子の表情と楽器の扱いなら誰にも負けない京アニにとって、吹奏楽という題材は最高のマッチング。圧倒的なクオリティで数々の名シーンを残した。

 

⑤『フリップフラッパーズ』今年最大の異色作であり、アニメの原点ともいえる。不思議な世界を冒険する主人公と視聴者の気持ちがリンクする。難解な作品だが、こういうアニメを面白いと思える自分でいたいし、そんな世の中であってほしい。

 

【アワード声優賞】

女性声優のみ2名

 

悠木碧 今年の2大アニメ映画『君の名は。』『聲の形』で活躍。その特徴的な演技は役者相手でも絶妙に絡み合う(『僕だけがいない街』)。

 

日笠陽子 今年後半は脇役として多数のアニメに出演。有名作品で一発当て、ラジオや歌手として活躍し、自然体な演技を身につけ脇役にシフトしていくという、女性声優としての一つの成功型を示したか。

 

【OP賞】

映像と楽曲から総合的に判断し、数作品を選出。

 

①『ブブキ・ブランキ(Beat your Heart)』溢れ出る厨二感、気持ちいいくらいのドヤ顔。映像と楽曲のシンクロ率。

 

②『ハイスクール・フリート(High Free Spirits)』キャラの可愛さと軍艦のかっこよさの共存。30人以上のキャラをよく捌いた。 

 

③『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス(風ノ唄)』圧倒的な映像美でファンタジーの世界を表現。戦闘が見どころである本編の良さをうまく伝えている。

 

④『ブレイブウィッチーズ(アシタノツバサ)』どことなく感じる古き良きアニメ感。サビから始まる映像のものすごい疾走感。

 

【ED賞】

同上。

 

フリップフラッパーズ(FLIP FLAP FLIP FLAP)』独特の世界観を表現する映像と音楽。一枚絵EDとループ系EDで画面分割するという発想。

 

【くそアニメ賞】

あくまで私が観た作品の中から、主観的に選出。

 

①『あんハピ』つまらないアニメなら他にもたくさんあるが、このアニメは世の中の不幸な人たちに失礼。

 

②『クオリディア・コード』あまりにも作画がひどい。メディアミックスとして大々的に展開しておきながらのこの失態は猛省すべき。

 

【審査員特別賞】

私独自の視点で、おすすめしたい作品を選出。

 

ハルチカハルタとチカは青春する~』LGBT、現代建築、ベトナム戦争宮沢賢治聴覚障害…。どの話も非常に印象が強く、インテリ心をくすぐる作品。そしてやっぱりアニメはヒロインの魅力が重要。

2016秋アニメ 作品レビュー

レガリア The Three Sacred Stars』 評価:C とにかく面白そうな設定をつめ込みまくって、結局何も消化できていない。ストーリーの方向性が見えず、終盤は主人公たちと敵の会話が全く盛り上がらない。そもそもスケジュールを守れない時点でテレビアニメとして失格。

 

SHOW BY ROCK!!(第2期)』 評価:C ショウバイロックというコンテンツの一部としてのアニメなので別に構わないが、内容は小学生レベル。個性的なキャラクターをつくるのはうまく、特に独特な台詞回しが秀逸。

 

魔法少女育成計画』 評価:B 基本的に進め方が雑で、話に深みがない。所々に意外な展開もあっただけにもったいない。結局は可愛い絵柄でエグいことをやる『まどマギ』の二番煎じだったが、死んだキャラが生き残ったキャラに影響を与えていく展開は面白かった。

 

灼熱の卓球娘』 評価:B キャラのゆるい雰囲気と、部活モノとしての真剣さが良いバランスだった。試合中に部の先輩や相手選手を煽りに煽り、自分のハードルを上げに上げていく展開がこの作品独特のテンションをつくっている。1クール内にもう少し山場がほしかった。

 

装神少女まとい』 評価:C 親子愛という視点ならぐっとくるシーンもあったのだが、魔法少女アニメとしては世界観がめちゃくちゃで手に負えない状況になってしまった。ゆまというコメディ役や作中でのSNSの活用などオリジナルならではの面白い発想もあったが、作画・ストーリー共に力不足。

 

ステラのまほう』 評価:A きらら系日常アニメの流れを汲みつつ、ゲーム制作に取り組む部活モノとしての視点も備えており、途中でだれることなく見れた。ただの仲良しこよしではない「部活仲間」という微妙な距離感の描き方、主人公が持つ独特の「間合い」もこの作品の面白い要素。

 

ガーリッシュナンバー』 評価:C 声優とアニメ業界の裏側を面白おかしく自虐的に表現して、アニメオタクに毒舌を吐いて、「お前らこういうアニメが見たかったんだろう?」と小馬鹿にされた気分だ。キャラが幼稚で話が薄い。プロフェッショナルの世界で、まるで中学生みたいな成長物語。

 

舟を編む』 評価:S 長い年月の中で、主人公たちが着実に成長しながら大事業をなし遂げる姿を、1クールにしっかりと収めきった。それぞれの登場人物が「受け継がれるもの」という共通のテーマを背負っており、作品全体に一本の筋が通っている。ビッグタイトルを扱うノイタミナらしい傑作。

 

競女!!!!!!!!』 評価:A 発想力と勢いで勝負する強烈なギャグアニメ。しかし、そのギャグを支えているのは、この作品の根底にある少年漫画の王道である。熱い展開だからこそ勢いが持続し、くだらない発想も本気でやるから面白い。

 

ろんぐらいだぁす!』 評価:C 自転車の楽しさが伝わる良いアニメだが、それ以上に主人公が自転車という「沼」にのめりこんでいく過程には恐怖感すら覚える。それがまた面白くもある作品なのだが、いかんせん作画が悪く、納期も守れないテレビアニメに評価はできない。

 

響け!ユーフォニアム2』 評価:S 1期をさらに上回る、圧倒的なクオリティをみせた。1話の花火、5話の演奏、10話の久美子の号泣など、どの話も印象深い名シーンを残した。女の子の表情と楽器の扱いなら誰にも負けない京アニにとって、吹奏楽という題材は最高のマッチングだった。

キャラの心情について若干納得しがたい点もあるが、それもまた彼女たちの「青春」であろう。2期では久美子が主人公として大きな役割を果たし、彼女の「素直さ」が周りを少しずつ変えていく展開が良かった。

 

『Occultic;Nine』 評価:B 幽霊という難しい題材にチャレンジしたが、SF作品としての説得力はいまひとつで、マシンガンのごとき解説が冗長に感じてしまった。しかし、怒涛の最終回を観た後のカタルシスは凄まじい。ダメダメな主人公も最後にはかっこよさを見せてくれた。

 

終末のイゼッタ』 評価:B 作品の世界観や、人や国の思惑が交錯するドラマは面白かった。しかし、命がけの戦争を全てイゼッタ無双で片づけてしまう展開はなんとも味気なかった。主人公のイゼッタもただの良い子で終わってしまい、魅力が薄かった。

 

フリップフラッパーズ』 評価:S 今期最大の異色作でありながら、アニメの原点を追求した作品でもある。戸惑いながら不思議な世界を冒険する主人公と、「いったい何が起きてるんだ?」と考える視聴者の気持ちがリンクする。映像も含め、アニメ本来の魅力を私たちに思い出させてくれた。

 

声優賞 ①田中美海灼熱の卓球娘) 『ハナヤマタ』のイメージから脱却し、今作で声優としての新境地を開拓した。今後、ポスト種田梨沙の争いはさらに激しくなるだろう。

 

声優賞 ②黒沢ともよ響け!ユーフォニアム2) 自然体な演技で主人公の魅力を大いに引き出した。特に秀一と話すときの声や、終盤であすかに感情をぶつけるシーンが印象的である。

2016夏アニメ 作品レビュー

NEW GAME!』 評価:S 『三者三葉』では(話がつまらなすぎて)動画工房の力を十分に発揮できなかったが、今作ではその真価を発揮。どのキャラも個性的・魅力的で、これぞまさに「かわいさニューウェーブ」。ゲーム会社が舞台というのも、きらら系日常アニメの中で新鮮さをもたらした。
個人的には青葉の(良くも悪くも)素直な言動がツボ。ねねっちは不要。

 

Re:ゼロから始める異世界生活』評価:B 矢吹健太朗の言葉を借りれば、「どんなに魅力的なヒロインを描いても、主人公が読者に好かれない奴ではその恋を応援してもらえません」。タイムリープが面白いのは当然。だからこそ、この作品がもつヒロインの魅力を引き出せる主人公がほしかった。

 

ラブライブ!サンシャイン!! 』 評価:B 「所詮はコンテンツの延命、新人声優のお遊戯会」と切り捨てるつもりだったが、なかなか良かった。少女たちが友情・努力・勝利で壁を乗り越えていく展開は、ひねりもないし強引だけれども、まっすぐで良かった。もちろんキャラの可愛さは大事な要素。

 

Rewrite』 評価:C 主人公のユーモアセンスとKeyのブランド力だけでなんとか最終回まで見続けたが、正直何が何だかさっぱり分からなかった。作画も悪いし話に入り込めない。「次」を見てくれる視聴者がどれだけいるのだろう。

 

『クオリディア・コード』 評価:C キャラデザも魅力的だし、話の「転」も見ごたえがあったが、近年稀に見る作画の崩壊と共にすべて崩れ去った。これは単なるA-1 Picturesの罪なのだろうか、それともこの作品がアニメ界全体の危機を暗示しているのだろうか。

 

マクロスΔ』 評価:A 最終回で期待に応えられないアニメが多い中、序盤の勢いを取り戻したラストは今期1番だった。盛り上がったときの戦闘シーンは他の作品では味わえない感覚がある。一方でそこに至るまでの展開は同じ敵・同じパターンの繰り返しで、目的も見えず中だるみした。

 

テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』 評価:B まず圧巻の映像美を高く評価したい。一方、RPG原作という難しさのせいか、ufotable独特の重々しさのせいか、ストーリーは正直つかみづらかった。今後、批判の多い原作とどう違いをみせていくのか見ものである。

 

『魔装学園HxH』 評価:B ヒロインの系統が絞られており、作風が合えばどの回でも楽しめる。主人公の真面目さがシュールな笑いを誘うと同時に、視聴者に好感を与えた。内容は低レベルだが、挑戦的なシーンも多く、この手のジャンルの中では相対的に高い評価をつけてよいのではないか。

 

この美術部には問題がある!』 評価:A ヒロインが可愛いだけのアニメ。とにかくヒロインを演じる小澤亜李が素晴らしい。可愛いけれど媚びた感じにはならず、得意のツッコミがテンポの良さを生み出した。ごり押し声優だと散々批判してきたが、その才能に今更気づいたことが恥ずかしい限りである。

 

声優賞 ①茅野愛衣(出演多数) 今最も必要とされている声優。どんなアニメにも茅野が活きるポジションがあり、どんなアニメでも茅野の演技は自然に溶け込む。

 

声優賞 ②高田憂希NEW GAME!) 主人公のもつ愛嬌、健気さ、幼さなどを、嫌味なく絶妙なバランスで表現していた。

2016春アニメ 作品レビュー

『ばくおん!!』評価:A 序盤はただの「バイク好きによる内輪ネタ」だと思っていたが、いつの間にかバイクの魅力に引き込まれ、7話を見終えた頃にはこのアニメが好きになっていた。とにかくバイクへの情熱がすごい。スポンサーをdisりまくる芸当も、バイク愛こそがなせる妙技。

 

ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』 評価:C ただの妄想の垂れ流し。登場人物の言動があまりにも痛々しい。ただ、ここまで妄想を爆発させていると逆に清々しくもある。可愛ければもうなんでもいい。

 

くまみこ』 評価:S ひたすら精神的に追いつめられる田舎コンプJC。居るだけでシュールな喋る熊。アニメ界に新たな笑いとエロティシズムの形を示した。終盤のアイドル編でやや失速したのが残念。

 

『コンクリート・レボルティオ THE LAST SONG』 評価:B 視聴者に深くじっくりと考えさせる構成や、昭和という時代へのオマージュなど、売れるアニメではなく真に面白いアニメをめざしたクリエイター陣の姿勢を評価したい。しかし、もっと分かりやすければ…と正直思ってしまう。

 

キズナイーバー』 評価:B 「傷で繋がる」というコンセプトは面白かった。しかし、話が破天荒でどこか共感しきれないまま終わってしまった。

 

ハイスクール・フリート』 評価:B 要は流行りに乗っかったわけだが、その中で本格的な戦艦要素をどこまで出せるかという挑戦でもあった。深く考えず気楽に観れば十分楽しめる作品。

 

甲鉄城のカバネリ』 評価:B 4話までのカバネとの戦いは鳥肌が立つほどの興奮だったが、その後は無名の暴走と美馬の奇行でスケールがみるみる小さくなった。ノイタミナはまたしても我々を裏切ったのか、それともこれが1クールというサイクルの限界なのか。

 

学戦都市アスタリスク』 評価:C 相変わらず主人公とヒロインに魅力がないし、戦闘シーンには緊迫感がない。せっかくいいキャラもいるのに出番がない。3クール目やる気満々の最終回だったが、もっと他にやるべきものはないのか?

 

三者三葉』 評価:C 西川葉子の可愛さと動画工房の頑張り以外に褒める点がない。本当に展開がワンパターン。原作がアニメ化のレベルに達していないのではないか。

 

『あんハピ』 評価:D(途中切り) 何が不幸なのか分からないし、キャラの設定と話の展開に無理がありすぎる。これぞ「まんがタイムバブル」の象徴。

 

声優賞 ①上田麗奈(ばくおん!!) 多少くせのある独特な演技が今作でうまくハマり、ポスト豊崎愛生という難しい配役を見事に我が物とした。

 

声優賞 ②内山夕実(ばくおん!!/Re:ゼロから始める異世界生活) 自らが得意とする男勝りなキャラや愛嬌のある軽快なキャラで、才能をいかんなく発揮した。

2016冬アニメ 作品レビュー

ハルチカハルタとチカは青春する~』 評価:A 主人公がゲイでヒロインの恋敵という設定には驚かされたが、ゲイをネタにしない姿勢もこの作品に込められた様々なメッセージのひとつだと感じた。ちょっとやりすぎ感もありながら、幅広い知性と青春の甘酸っぱさで視聴者の心を揺さぶった。

一番評価したいのは、ヒロインである穂村千夏のキャラクターとしての魅力。仲間を集めて全国を目指すという部活モノのワクワク感も良かった。ミステリーとしてはやや破綻気味だったが、現代建築、ベトナム戦争宮沢賢治聴覚障害…その守備範囲の広さに感服。

 

僕だけがいない街』 評価:S ノイタミナの復活を高らかに宣言した作品といえるだろう。ミステリーとしてだけでなく、家族愛という視点でも、少年時代のノスタルジーという視点でも楽しめる。強くもかっこよくもないが応援したくなる主人公の存在も大きい。

やや釈然としない終わり方だったが、タイムリープ作品の歴史に名を刻んだのは間違いない。俳優2人の声優としての演技は決して上手いとは思わないが、この作品の特徴には合っていたと感じる。 

 

最弱無敗の神装機竜』 評価:C 展開はお決まりなのに全体像が全く見えてこないストーリー、退屈で無用なバトルシーン、お粗末な演技力。どうしようもないくそアニメだが、唯一キャラの作画だけは素晴らしかった。その可愛さだけで最後まで観てしまった。

 

赤髪の白雪姫(第2クール)』 評価:S 2期ではオビの葛藤やラジの成長など脇役にもスポットが当たり、白雪にも更なるピンチが訪れるなど、1期以上に見どころの多い内容だった。ゼンと白雪のいちゃラブもパワーアップし、何度も壁を殴りたくなった。

 

無彩限のファントム・ワールド』 評価:B 京アニ作品として厳しく評価するなら、良く言って意欲作、悪く言って失敗作。小難しいことをやろうとするわりに内容は月並みで稚拙だった。結局は衝撃の第1話がこのアニメのクライマックスだった。

 

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』 評価:A テンポが良くて見やすく、あくまで警察であろうとするユニークさやダメダメな部署が活躍する痛快さが持ち味となった。一般層を狙いながらもアニメとしてのロマンもしっかり描いていた。分かりやすいがゆえに終盤やや失速気味に感じた。

 

『だがしかし』 評価:S ある種の日常系ともいえる作風でありながら、回を増すごとに面白くなる作品も珍しい。笑い、エロ、斬新さ、懐かしさ、キャラクターの魅力、どれも満足のいく素晴らしい内容だった。

 

声優賞 ①悠木碧僕だけがいない街) 作品特有の雰囲気や、プロの声優とは違った俳優との演技の掛け合いにこれほどマッチする若手声優は彼女くらいか。感情が表れにくいキャラでこそ、真の演技力が問われるのである。

 

声優賞 ②ブリドカットセーラ恵美ハルチカ) コミカルでありながら、可愛らしさも持った独特な演技が印象的だった。