アニメオタクは世間に受け入れられるべきか? chapter 1: アニメは芸術ですか?
「アニメオタクは世間に受け入れられるべきか?」
chapter 1: アニメは芸術ですか?
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「アニメは芸術である」、これはオタクが一般人にアニメを受け入れさせるために用いる論法のひとつだ。たしかに、毎日のように深夜放送されるテレビアニメの中には、「芸術的な」風景描写や「文学的な」ストーリーが垣間見える作品もある。では、果たしてテレビアニメは「芸術作品」といえるのだろうか。
(1)芸術の定義
『デジタル大辞泉』によれば、「芸術」とは「特定の材料・様式などによって美を追求・表現しようとする人間の活動。および、その所産。絵画・彫刻・建築などの空間芸術、音楽・文学などの時間芸術、演劇・映画・舞踊・オペラなどの総合芸術など」のことである。
この定義をふまえて、Chapter 1では2つの要素について考えることにする。ひとつは、「アニメは美を追求しているか」である。もうひとつは、アニメに一番近いといえる映画と比較して、「アニメと映画の違いは何か」である。
(2)美を追求しているか
アニメを芸術作品と呼ぶためには、それが「美を追求しようとする活動の所産」でなければならない。しかし、ことテレビアニメに関して言えば、この定義に当てはめるのは難しい。ビジネスという面が強すぎるからだ。そこには出版社、テレビ局、映像・音楽ソフトメーカー、アニメ制作会社、声優事務所、さまざまな企業の力が働いている。もちろん制作に携わる者一人ひとりにはそれぞれの思いがあるだろうが、これほど多くの企業が関わっている以上、その第一目標は「利益の追求」と言わざるをえない。
ただし、これは映画に対しても言えることだ。映画は億単位の金が動くれっきとしたビジネスである。映画とアニメとの間に、芸術かどうかの線を引くものは何だろうか。
(3)作者は誰なのか
映画の芸術性を語るとき、「作者」としての監督の存在は欠かせない。もちろん映画にも多く企業が関わっているわけだが、制作を指揮する監督の力は大きく、「○○監督の作品」という認識は一般的にもなされている。一方、テレビアニメの場合は制作にさまざまな工程があり、監督の仕事や作品内での存在感も映画とはだいぶ異なる。それゆえ、一般層の中で「○○監督のアニメ」という認識はまず生まれない。これはテレビ番組全体に言えることであり、映画に非常に近い存在であるドラマでも、制作者として認識されるのは監督よりもテレビ局のほうである。
「作者」の存在がぼやけてしまうテレビアニメは、その芸術性を全体的に評価するのが難しい。よって、少なくとも今現在、テレビアニメを芸術作品として認めさせるのはかなりハードルが高いといえる。それはアニメに対する偏見などではなく、制作物としての性質の問題なのである。
※逆をいえば、宮崎駿や細田守のアニメ映画が芸術的に評価されているのは、彼らの「作者」としての働きと存在感が世間から認められているということである。
(4)おわりに
私はこの章で、「テレビアニメに芸術性はない」と言いたいのではない。「『アニメは芸術』などという理屈で一般人に認めてもらおうと思わないほうがいい」と言いたいのである。テレビアニメなんて「娯楽」で充分だし、「サブカルチャー」で全く構わない。アニメの芸術性はアニメオタクの中で語ればよいし、一般人に芸術として受け入れてもらおうなんて思い上がりだ、と私は感じている。
もちぞうアニメアワード2015 声優賞・OP/ED賞など
声優賞
①東山奈央
昨年以上にメインキャラクターとしての出演が増え、多彩な役柄をこなした。九条カレンや由比ヶ浜結衣、金剛といった東山らしいキャラだけでなく、クローディアのような大人びたキャラや感情を出さないレレイなど、演技の幅と安定感は若手屈指。
②松来未祐
アンナ・錦ノ宮の鬼気迫る演技は観ていて震えるほどだった。アニメ界に多大な功績を遺した松来さんに2015年の声優賞を差し上げたい。
OP賞
①対魔導学園35試験小隊(Embrace Blade/アフィリア・サーガ)
・シンプルでスタイリッシュな映像
・作品の明るさと悲壮感の両面をイメージさせる楽曲
②GANGSTA.(Renegade/STEREO DIVE FOUNDATION)
・同じくシンプルでスタイリッシュ、かつ貴重なハードボイルド
・おしゃれ感もワイルドさも演出するイケイケシンセ
③GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり(GATE~それは暁のように~/岸田教団&THE明星ロケッツ)
・ストーリーと歌詞と映像のリンク
・視聴者のテンションを上げていくOPにふさわしいイントロやサビの盛り上がり
ED賞
①ヴァルキリードライヴ マーメイド(スーパーウルトラハイパーミラクルロマンチック/敷島魅零(CV:井口裕香) & 処女まもり(CV:井澤美香子))
・2015年最高の電波ソング
②新妹魔王の契約者 BURST(Temperature/Dual Flare)
・2015年最も熱いED
くそアニメ賞
①『ローリングガールズ』1月~3月
今年の「謎のオシャレ感と意味不明なストーリーで制作側が自己満足するオリジナルアニメ」代表作。
②『Charlotte』7~9月
今年一番がっかりさせられたアニメ。自らハードルを上げに上げてからのあのお粗末な内容には呆れて言葉が出ない。
審査員特別賞
『モンスター娘のいる日常』7月~9月
・人外モノをアニメ化する挑戦心
・さまざまな差別問題がクローズアップされた2015年に何かを訴えかけるような社会性
・新人声優のあえぎ演技が鍛えられた
・キャラソンのクオリティが高い
もちぞうアニメアワード2015 作品賞 トップ10
10位『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』2014.10~2015.3月
・今年一番笑った作品
・毎週のように変わる主人公の性格と行動目的
・ある意味これ以上の作品は2度と現れないかもしれない
9位『四月は君の嘘』2014.10~2015.3月
・楽器演奏における圧倒的作画力
・ラノベアニメに足りない、漫画らしい少年少女の成長過程
・ノイタミナの正しい姿
8位『赤髪の白雪姫』7月~9月
・視聴者を引き込む作品の雰囲気
・思わず応援したくなる、勇気をもらえる、ヒロインのひたむきさ
7位『オーバーロード』7月~9月
・圧倒的なインパクトとギャップが魅力的な主人公
・とにかく痛快でいい気分になれる主人公の活躍
・俺TUEE主人公のニュータイプ
6位『落第騎士の英雄譚』10~12月
・ラノベ型学園バトルラブコメに純愛を持ち込んだアニメ史的意義
・ステラがかわいい
・戦闘シーンに迫力をつけるスピード感
5位『幸腹グラフィティ』1月~3月
・価値のある日常系アニメ
・忙しいく騒がしいアニメが多い中、優しい気持ちになれるヒーリングアニメ
・日常に隠れたエロティシズム
・飯の作画=アニメの質
4位『響け!ユーフォニアム』4月~6月
・深夜に貴重なガチ部活もの
・一筋縄ではいかない個性的なキャラクターがぶつかり合う人間ドラマ
3位『SHIROBAKO』2014.10~2015.3月
・挫折を乗り越えてそれぞれの夢に向かっていく若者たちの群像劇
・これまでのアニメ業界へのリスペクトとともに、現在のアニメ業界へ一石を投じる挑戦もみせた
2位『シドニアの騎士 第九惑星戦役』4月~6月
・近年隆盛するCGアニメの代表的作品
・かわいすぎる化け物ヒロイン
・死地をくぐり抜ける緊張感は今年随一
1位『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』7月~9月
作品としてのアイディアは決して目新しいものではないが、それでもこの面白さは本物。掴みどころのない主人公を筆頭に、個性的かつ好感の持てるキャラクターたちの存在は大きい。
自衛隊の戦闘シーンは震えあがるほどの興奮を覚えた。2つの世界で人々の生活から政治対立まで巻き込むスケール感は、ぜひとも2期目で活かしてほしい。安全保障問題が大きな話題となった2015年に、代表作としてふさわしい作品である。
2015秋アニメ 作品レビュー
『学戦都市アスタリスク』 評価:C A-1の作画力でラノベアニメの焼き増しをつくったという印象。キャラクターたちに緊張感がなく、12話の中でクライマックスはどこにもなかった。分割2クールにすることが本当に良いことなのかもう一度考え直してほしい。
『落第騎士の英雄譚』 評価:S チョロインたちが尺を奪い合い、退屈なバトルでお茶を濁す学園バトルラブコメが蔓延る中、この作品はその枠を破り新たな次元に到達した。主人公とヒロインが付き合う展開は、2人の魅力で勝負するという勇気がないとできない。緊迫したバトルも見応えがあった。作画やストーリーに荒削り感はあるが、それでもハーレムアニメ界におけるこの作品の歴史的意義を高く評価したい。
『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』 評価:B 単に殺人事件を解決するのではなく、人骨から様々な人間ドラマを解き明かしていくというのはなかなかに深みがあった。しかしインテリ気取りなキャラクターたちの口喧嘩を見続けるのは苦痛で、何より男主人公の態度があまりにもでかすぎる。
『対魔導学園35試験小隊』 評価:A このジャンルでは珍しく恋愛より友情を前に出しており、最強主人公のワンマンプレーではなく仲間とのチームプレーで戦う姿勢が好印象だった。展開はかなり急ぎ足で消化不良な部分も多く、図らずも1クールを前提としたアニメ化サイクルの限界を示す形になった。
『緋弾のアリアAA』 評価:C 百合もバトルも主人公の成長も中途半端で、ファン向けの域を出なかった。
『ヴァルキリードライヴ マーメイド』 評価:B お色気ネタアニメかと思いきや、最後はアニメの王道を貫いた。お互いに敬語を使うという凸凹主人公コンビが斬新で面白かった。
『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』 評価:B 私たち若者世代に何かを伝えようとしているのは分かるが、結局何も伝わらないなら意味がないだろう。強いメッセージ性に心を打たれることも多かったが、時系列をバラバラにする構成は視聴者を置き去りにするだけだった。
2015夏アニメ 作品レビュー&クール総括
『がっこうぐらし!』 評価:B 「可愛い絵柄でエグいことをやる」という作風は今ではそれほど目新しくはないが、だらだらした日常パートに飽きてきた頃に衝撃的なシーンが待っている、という運び方が上手かった。いろいろと設定は用意されているようだが、個人的にはもっと理詰めな展開を見たい。極限状態に置かれたりーさんの放つエロスが一番の見どころかもしれない。
『Charlotte』 評価:C 『Angel Beats!』から何を学んだのか説明してもらいたい。映像はよく頑張っていたが、ストーリーが幼稚すぎる。バンドに関してはただやりたいだけとしか思えない。この作品のテーマと同じく、思春期だけ面白く感じるアニメなのだろう。
『モンスター娘のいる日常』 評価:A ただのハーレムアニメを超え、人種差別という大きな問題に一石を投じた作品。雨宮天や小澤亜李といった新人ごり押し声優にもお色気シーンをやらせることで、若手の鍛錬の場として声優界にも大きく貢献した。
『干物妹!うまるちゃん』 評価:C いくら日本人が妹大好きだからといっても、これはあまりにクレイジーだ。兄のタイヘイはクレイジージャパニーズの体現者である。うまる以外のキャラはとても可愛かった。
『GANGSTA.』 評価:B 中途半端すぎるラストはマングローブ倒産の影響なのか?面白かっただけに残念。
『オーバーロード』 評価:S 僕たちの膨れ上がった承認欲求を満たしてくれる痛快な作品。1クールを通してすべての敵はかませで、仲間もモブも皆主人公を賛美する。主人公とは思えない外見や、強さの中に謙虚さとお茶目さを持ち合わせるなど、主人公TUEEアニメの新たな姿を示してくれた。「引退していったプレイヤーの力を借りてギルドマスターが一人で戦う」という設定も、ネトゲファンには心にくるものがある。
『赤髪の白雪姫』 評価:A 行動力のあるヒロインが非常に魅力的な作品。世界観や恋の行方も見どころだが、ヒロインのひたむきな姿が一番見ていて楽しかった。
『城下町のダンデライオン』 評価:B 恋愛要素もほとんどなく、日常アニメともいえず、能力で戦うわけでもなく、真剣に選挙運動をするわけでもなく…なんとも微妙な内容なのだが、これが意外に面白い。兄弟姉妹が助け合っていく姿は微笑ましかった。花澤香菜の演技力も重要。
『それが声優!』 評価:B アニメ作品というより解説動画だ。声優業界を学ぶには良い教材だが、ストーリーはいたって陳腐である。ただ、単なるサクセスストーリーで終わらず、あくまで「声優業界は厳しい」というテーマで通したのは評価したい。
『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』 評価:B まさしく日本のアニメ業界にしかつくれないディストピア作品が出来上がった。アンナ・錦ノ宮というアニメ史に残る怪物も生みだしたが、後半はそれに頼りすぎた感もあった。この作品でブレイクした石上静香には今後も期待したい。
『アイドルマスター シンデレラガールズ(第2クール)』 評価:B 美城常務の言動に説得力がなさすぎるため、ストーリーに共感できなかった。メンバー脱退の危機というのも最早アイドルアニメのお決まりだ。ソシャゲ原作の宿命だが、大量のキャラをいかすことに関してはよく頑張っていた。
声優MVP①:麻倉もも 脳みそが溶けるような彼女のボイスで演じる乙坂歩未が、シャーロット唯一の楽しみだった。
声優MVP②:松来未祐 下セカはまさに命を削るような迫真の演技だった。まだまだJK役もいける。ぜひまた元気に戻ってきてほしい。
総括:面白いアニメはいくつもあったが、飛び抜けた作品はなかったように思える。ToLOVEる、モン娘、監獄学園、下セカなど、最近の中でもかなり過激なアニメが多かったのが印象的である。一方、今期は石上静香や田中あいみといった期待の若手声優が続々と現れた。今後の活躍が楽しみである。
2015春アニメ 作品レビュー&クール総括
『SHOW BY ROCK!!』 評価:B 老若男女幅広い層をターゲットにしているのかもしれないが、逆に何を期待して観ればよいのか分からない面もあった。童心に返って観ると、ストレートなテーマ性を素直に楽しめる。
『ハロー!!きんいろモザイク』 評価:A 個人的に、このアニメの魅力は「大宮忍の個性」と彼女を中心とした「イギリス趣味」にある。あくまでも作品の中心はアリスでもカレンでもなく大宮忍であり、彼女がいるからこそ『きんモザ』は他の日常系百合アニメから一歩抜きんでているのである。
『えとたま』 評価:C マーケティング戦略とCG技術でアニメ業界に革新を生んだ作品といえる。内容は特筆すべきこともない。
『パンチライン』 評価:D 『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』『残響のテロル』に続き、またしてもノイタミナは私たちを裏切った。伝家の宝刀・タイムリープを使ってもこの出来しか作れないという事実を制作側は恥じるべきだ。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』 評価:A 普通の学園モノとは一線を画す独特の切り口は2期になっても健在。登場人物もみな魅力的だが、若干言い回しにこだわりすぎて何が言いたいのかよく分からないところもあった。原作の都合があるとはいえ、終わらせ方は少し残念だった。
『山田くんと7人の魔女』 評価:A 設定は使い古されたものばかりだが、使い方次第でここまで面白くなるということに驚いた。キャラが入れ替わるという難しい演技も、声優陣がよく頑張っていた。最終回をきれいに終えたことも評価したい。唯一残念なのは、OPとEDが宣伝目的なところ。
『プラスティック・メモリーズ』 評価:A 「ロボットの死」というテーマと職場内恋愛を描いたことが斬新で面白かった。ちょろくないヒロインや恋に悩む主人公は本来あるべきラブストーリーの姿を示し、チョロインが跋扈する昨今のラブコメアニメに鋭いパンチを食らわせた。
『響け!ユーフォニアム』 評価:S 時に運動部よりも激しく厳しい吹奏楽部を舞台にした、部活に燃える少女たちの青春群像劇。リアルさとドラマティックさのバランスが良く、キャラクターも一筋縄ではいかない魅力がある。大人数が細かく動く吹奏楽でこのクオリティを生み出せるのはさすが京アニ。
『シドニアの騎士 第九惑星戦役』 評価:S シリアスとギャグの織り交ぜ方が絶妙で、予想できない展開が視聴者を飽きさせない。主人公がただのTUEEに陥らず、強大な敵とのギリギリの戦いを乗り越えていく緊張感と期待感を持たせてくれる。サブキャラにもそれぞれの役割があり、話に無駄がない。
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』 評価:A まずは同人界を席巻したヘスティアという存在を生み出したことを評価したい。主人公が大した努力もせずに強くなってしまうのが残念だが、最終回に向かって非常に熱くなる展開をみせてくれた。
『てさぐれ!部活もの すぴんおふ プルプルんシャルムと遊ぼう』 評価:A
『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』 評価:A 「重厚なストーリー」と「テンポの悪さ」、「詩的でクールで台詞回し」と「冗長なカッコつけ会話パート」は紙一重なところ。ただ映像作品としてのこのアニメのクオリティには文句のつけようがない。
『グリザイアの迷宮/楽園』 評価:B エロゲ原作のアニメが絶滅危惧種になりつつある昨今において、ラノベにはない「深み」がエロゲにはあるということを証明してくれた。原作を知る者としても、要点を押さえた納得のいくまとめ方だったと評価できる。
『雨色ココア』 評価:なし このアニメの存在意義を教えてほしい。
声優MVP:佐倉綾音 あざとかわいい後輩、ミステリアスな少女、宇宙人に至るまで、演技の幅の広さは若手声優の中でも随一。艦これの1人8役が今期に生かされたといえるだろう。
ヒロインMVP:白羽衣つむぎ ただの化け物がこんなに可愛いと思えることは今後もうないかもしれない。ベニスズメとの一戦は視聴者にとって複雑な気持ちが交じり合う印象深いシーンだった。
2015春の総括 2期目・3期目のアニメが多かったことと、高いCG技術を駆使したアニメが多かったことが今期の特徴といえる。アニメ界のトレンドが色濃く反映されたクールだった。
2015冬アニメ 作品レビュー&クール総括
ソシャゲ原作の割にはしっかりとまとまった作品に仕上がり(これぞ角川の力?)、最近では珍しいストレートなスポ根アニメに変貌した。男性を一切登場させない、序盤で仲間が死ぬ、膨大なキャラを器用に使う、といった手法はこれまでの人気アニメから学んだものも多いと感じる。
ただ、今のアニメ界は「外敵を撃ち払う」パターンで溢れており、続編ではマンネリをどう解決していくかが課題となるだろう。
【新妹魔王の契約者(テスタメント)】 評価:C
『妹ちょ』に続く対BPOアニメとして期待したが、結局規制頼みで放送では十分に楽しめなかった。戦闘シーンでかなり雑さが目立ち、シリアスになればなるほどつまらなくなるエロコメの典型に陥ってしまった。
ただエロシーンは確実に限界へ挑戦しており、ストーリーも新たな展開を迎え、2期が気になるところである。
【四月は君の嘘】 評価:A
この作品のテーマはいくつか挙げられるが、「甘酸っぱい恋愛模様」と「大切な人の死」には個人的に共感できなかった。
しかし「音楽に青春を捧げる少年少女」と「主人公の成長」には大変心を動かされた。作画と演出は思わず息をのむほどで、ノイタミナ枠に相応しい作品といえる。
【SHIROBAKO】 評価:S
嫌な言い方をすれば、アニメの製作現場を題材にするのは「せこい」やり方である。つまり、「自伝小説なら誰でも書ける」わけだ。
しかし、「仕事に挫折を味わいながらも夢を追いかける若者たちの姿」や、「伝統への敬意と革新的な挑戦心を忘れない日本のものづくりの姿」を描いたこの作品は、それを踏まえても、やはり傑作なのである。
【冴えない彼女の育てかた】 評価:C
このタイトルは痛烈な皮肉であり、実際には「魅力的なヒロインを最低の主人公が台無しにする方法」である。あるいは、もしかしたらこの作品全体が今のアニメ業界への皮肉なのかもしれない。
萌え豚用いちゃいちゃエロアニメだと思えばそれは素晴らしいアニメなのかもしれないが、霞ヶ丘詩羽のセリフを引用するならば「絵さえ良ければ名作だと無駄に崇める人たちがアニメ業界を衰退させていく」不安もあるので、ここで厳しい評価を出させてもらう。
【幸腹グラフィティ】 評価:S
悲劇的なシーンに胸が痛むこともなければ、とんでもない展開に笑い転げることもない。ただ3人の少女の日常が流れ、時々くすっと笑い、ほんの少しのエロティシズムを感じ、最後はほっこりする。
打ち上げ花火ばかりの昨今のアニメ界において、線香花火のわびさびを教えてくれるような作品である。料理の作画だけでもこのアニメの質は一目瞭然だろう。
【銃皇無尽のファフニール】 評価:C
飽和したラノベ界の末路が見えた作品である。設定はどこかで見たようなものばかりであり、全く消化しきれないまま放送を終えた。ラノベは全く読まないので何とも言えないが、もっと面白い作品はないのだろうか。声優人気で持たせるのにも限界がある。
松岡禎丞の使いすぎ、『進撃の巨人』方式の使いすぎ、ヒロインがちょろすぎ。今のアニメの問題点を結集したような作品であり、その意味ではこの作品に価値はあるのかもしれない。
【ISUCA-イスカ-】 評価:D(途中切り)
作画もそうだが、主人公のキャラ性や「とりあえずパンチラしとく」といった作風など、6,7年前のノスタルジーを感じた。しかし、もうその時代は終わったのだ。作品に恵まれない木戸衣吹が不憫である。
【アルドノア・ゼロ】 評価:B
戦闘シーンは「火星側のハイスペックを見せつける攻撃」→「主人公の天才的戦術で勝利」というワンパターンで、あまり緊張感がなかった。シナリオはいつもの虚淵という感じだが、さすがに見ごたえのある展開だった。
監督はインタビューで「少年少女が見る戦争」を描くと語っている。戦争とは何かを描くことには成功したが、主人公の伊奈帆は少年と呼ぶにはあまりに冷めすぎていた。
このアニメは「平和を願うお姫様の成長物語」として見るのも面白いと思う(そしてクロスアンジュと比較してみよう)。あるいは、「バカな男たちとそれを支える女たちの物語」として見ることもできる(たちまち古風な作品に見える)。
【クロスアンジュ 天使と竜の輪舞】 評価:A
予測不能の超展開、そのまま同人誌にできそうなエロシーン、あまりにもゲスい主人公。前代未聞の問題作だが、面白ければそれでいい。これがクロスアンジュだ。
とにかく今期一番笑った。間違いなく保護者が子どもに見せたくないアニメNo.1。
【ローリングガールズ】 評価:D(途中切り)
思いつきで始めないで、まずはしっかりとストーリーをつくってほしい。
【聖剣使いの禁呪詠唱】 評価:C
とにかく勢いで押し切るスタイルと、きっちり1クールで終わらせたことは評価したい。
・声優MVP:日高里菜
・ヒロインMVP:霞ヶ丘詩羽
男の欲望を具現化したような先輩キャラ。主人公がもう少しまともであれば…。
・総括:
ラノベ原作のアニメに限界が見え始める中、クオリティの高いオリジナルアニメが目立ったクールだった。個性の強いキャラクターで勝負しているアニメが多いが、もっと見ごたえのあるストーリー性を持ったアニメの台頭に期待したい。