潰れたトマトと喋るカラス

批評せずにはいられないな

2017冬アニメ 作品レビュー

【作品レビュー 10段階評価】

10

 

けものフレンズ

 子ども向けアニメのようなゆるい雰囲気に、人間がいなくなったテーマパークという不気味さや、先の読めない展開が加わる。その「世界観のギャップ」が視聴者を引き込む。旅をしながら仲間を増やすという王道の面白さもあれば、流行りの異世界モノに通じるような面白さもある。

 つっこむとボロが出るような細かい設定はあえて説明せず、重要な伏線はきっちり回収するという作りも上手だった。動物たちの習性を掘り下げることはオタクの知識欲をくすぐり、擬人化は二次創作を活発にした。声優は素人ばかりだが、それすらもこの作品の特徴だと思えてくる。

 

亜人ちゃんは語りたい

 現代社会の差別と不寛容に一石を投じた作品。一教師が亜人である生徒たちとどう向き合っていくかというテーマは、実写作品では表現できないものであり、アニメの大きな可能性を感じさせてくれた。

 キャラが魅力的で、テンポも良く、各回とも印象に残る話だった。作品外のコラボや企画にも力を入れており、制作陣の熱意が伝わってきた。

 

小林さんちのメイドラゴン

 笑える、和む、ほろりとくるシーンがテンポよく展開する。とにかくテンポが良いから退屈しない。独特ながら愛らしいキャラたちも魅力。単発的にみえるストーリーも、「家族」や「信頼」といったテーマが根底に流れており、最終回もきれいに締めくくった。

 

クズの本懐

 終盤までは金髪イケメンクズ野郎がおいしい思いをするだけの話だったが、先生二人の話や最終回の結末は良かった。「切ない恋の物語」を強調しているが、基本的にただ性欲をぶつけ合ってるだけなので笑ってしまう。可愛くてエロい女の子が見れるのは良い。

 

ACCA13区監察課

 独特な世界観、どんでん返しの展開がとても面白かった。飄々とした主人公がこの作品の持ち味ではあるが、ちょっと盛り上がりに欠けてしまう面もあった。漫画なら文字もあり読み返すこともできるが、アニメだと地名や人名の把握に苦労した。

 

幼女戦記

 そこらの異世界モノとは違った「神に挑む」というスケールの大きさには驚いたし、逆境に負けない主人公にも好感が持てた。一方、展開のほとんどはただ戦争してるだけであり、主人公も戦いたいのか戦いたくないのかよくわからず、期待したほどわくわくするようなシーンは少なかった。

 

チェインクロニクル ヘクセイタスの閃

 とにかく女キャラがみんな可愛い。男も個性的で良い。映画館でやるだけあって映像も良かった。主人公が負けるところから始まるというのはおもしろい発想だが、展開はいたってストレート。特に前半は子どもっぽくて退屈。

 

テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス
 ファンタジー世界の景色や戦闘シーンを美しく表現した映像は視聴者を大いに惹きつけたが、肝心のストーリーはあまり盛り上がらなかった。実力的にも人格的にも完璧な主人公がなんでもこなしてしまうため、緊張感や達成感が生まれなかった。
 それとどういう事情かは知らないが、テレビアニメならきちんとクール内におさめるべき。

 

セイレン

 アマガミと比較される難しさはあるにせよ、期待外れ。視聴者ウケを狙った変態プレイばかりが目につき(しかも全くウケない)、奇をてらいすぎた展開には全く共感できなかった。テンプレな学園ラブコメの殻を破ろうとする意欲は感じるが、男子の憧れるような青春は描けなかった。

 

うらら迷路帖

 迷路町という空想世界を舞台にしたわけだが、学園日常モノのようにはうまくいかなかった。設定が雑すぎて世界観に入り込めず、ストーリーは遅々として進まないため、とにかくつまらない。かわいいキャラを観るためにただ耐え忍ぶ30分だった。

 

ハンドシェイカー

 典型的なオリジナルアニメの失敗例。「とりあえず面白そうな設定を考えてみました」という感じで、ストーリーがまるで成り立っていない。斬新?なこともやっているが、ことごとくスベっている。昔ながらの次回予告だけは良かった。

 

 

アイドル事変

BanG Dream!

 

【声優賞】

(1) 茅野愛衣

 2016夏に続く選出。今期も多くの作品でレギュラー出演し、その勢いは止まらない。ギャグ(このすば)からシリアス(テイルズ)まで幅広くこなすが、なんといってもお姉さん役(3月のライオン、うらら、ハンドシェイカー)が鉄板。

 

(2) 桑原由気

 普段は明るく振る舞いながらも時より影をみせる、ドラゴン娘という独特なキャラクターを上手に可愛らしく演じていた。